現在、健康増進法の施行による受動喫煙の防止や禁煙治療の保険適応など、国による様々な「たばこ」対策が実施されています。当院でも、平成20年6月から敷地内禁煙などの取り組みや職員に対しても禁煙に関する啓発などを行ってきました。
健診などで患者さんを指導している立場である医療者側が率先して禁煙を行い、医療従事者としての自覚をもって健康管理を行うことが重要だと考えています。
※病院勤務職員アンケートを実施した結果を元に算出(回収率100%)。
当院では、病院が雇用した職員が行っている業務と業者へ委託している業務があります。喫煙に関するアンケートは委託職員も含め、回収率は100%となっています。2020年度の喫煙率は6.1%と前年度と比べ0.8ポイント減少していました。グラフ1は、病院職員と委託職員別に見た結果です。2020年度も病院職員と委託職員の喫煙率は依然として大きな開きがあります。グラフ2は、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」の喫煙率です。ここ数年間は20%を下回る結果となっており、令和元(2019)年の16.7%と比較すると当院の職員の喫煙率は低値ですが、委託職員では同程度でした。病院職員は職業柄、他の職種の方と比べ喫煙関連疾患に接する機会や禁煙教育を受ける機会が多く、喫煙率が低い要因の一つと考えます。
グラフ3は、病院職員の職種別による喫煙者の割合です。喫煙率は、医師:3.1%(前年度±0ポイント)、看護師:2.8%(前年度-2.0ポイント)、医療技術:7.1%(前年度-0.2ポイント)、事務:6.8%(前年度+1.4ポイント)、健康管理部:0%(前年度±0.0ポイント)という結果でした(2020年度データ)。特に医療技術部と事務の喫煙率が他職種と比べ喫煙割合が高い傾向にありました。
研究によって喫煙直後45分は呼出煙が検出され、受動喫煙となる可能性が示唆されています。また、喫煙直後の喫煙者のいる空間はガス状物質の濃度が上昇するという研究結果もあります。そこで当院では患者さんへの受動喫煙を防止する観点から、平成25年4月1日から職員の勤務時間内(休憩時間も含む)の喫煙を禁止しています。
喫煙はニコチンという禁断症状を形成する薬物を摂取する「薬物依存症」です。吸っている人は禁煙したい気持ちはあるが、禁断症状が次のタバコを吸いたい気持ちを押し上げ禁煙を困難にしています。喫煙者を排除するのでなく、タバコに囚われた生活からタバコのない生活に戻し、禁断症状のない「楽な」生活に戻すため、当院では禁煙を希望する職員への「卒煙」のサポートを含め行っています。