SSH RSCSaiseikai Shiga Hospital Robotic Surgery Center
ロボット手術センター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

膀胱がんとは

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂(じんう)、尿管を経由して運ばれたあとに、一時的に貯留する一種の袋の役割をもっています。膀胱がんの症状は、赤色や茶色の尿(肉眼的血尿)が出ることが最も一般的な症状です。また、頻繁に尿意を感じる、排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状を来すこともあります。

 

 

 

ロボット支援下膀胱全摘除術とは

層浸潤性がんと一部の筋層非浸潤性がんの最も有効な治療法とされています。

全身麻酔を使用し、腹部に切開を入れてロボットと接続します。尿管の切断をしたあと、膀胱の摘出を行い、男性では前立腺と精嚢(せいのう)を摘出します。がんの状態によっては尿道も摘出することがあります。女性では子宮と腟壁の一部、尿道をひとかたまりとして摘出するのが一般的です。骨盤内のリンパ節の摘出(骨盤内のリンパ節郭清)を併せて行います。膀胱を摘出した後には、尿路変更術(図)が必要です。

 

 

 

 

 

対象

各種の画像診断とTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)による組織検査の結果を基に、患者さんの希望や年齢、合併症などを考慮した上でがんの治療法が決定されます。

 

筋層浸潤性がんに対しては、骨盤内のリンパ節郭清(かくせい)を伴った膀胱全摘除+尿路変向術(外科治療)や放射線治療が行われます。ただし、筋層非浸潤性がんの場合でも、進展や転移のリスクが高いと判断される場合には、筋層浸潤性がんに準じた治療が行われることもあります。

 

手順

  1. 腹部にポートを設置(切開穴は5~15mmで、全部で6カ所)し、臍部の切開創は最後を取り出すため約13cmとなります。

  2. 膀胱を剥離・切除したあと、骨盤のリンパ節郭清を行います。

  3. 小腸を使って代用膀胱もしくは回腸導管を作成し、尿路変更を行います。

  4. 手術時間は概ね約7~9時間を予定しています。 

 

 

 

 

利点と欠点

利点

傷が小さく、痛みが軽度
従来の開腹手術に比べて、傷が小さく痛みが軽度です。

 

出血量が少ない
出血量が少なく、輸血の必要性を減らすことができます。

 

術後の回復が早い
術後の回復が早く、手術翌日に自力で歩いたりすることができます。平均的な入院期間は約3週間です。

 

 

欠点

持病がある場合の手術について

 

開腹手術と原則同じですが、異なる点は、20度ほど頭側を下げた姿勢(頭低位)となります。そのため、眼圧や脳圧が上昇する可能性が高く、緑内障を煩っている方や脳血管障害の既往のある方や呼吸機能が非常に低下している方などでは、注意が必要です。

 

 

手術中・後の危険性

周囲臓器損傷

1%以下の低い頻度ですが、直腸、尿管を損傷することがあります。通常手術中に修復できますが、直腸の損傷ではごくまれに一時的な人工肛門が必要になることがあります。

感染症

通常手術後2~3日は発熱します。発熱が持続する場合でも一般的には抗菌薬の投与で軽快します。まれに感染などによって傷が開くこともあります。

 

リンパ嚢胞

術後にリンパ液が貯留して嚢胞を形成することがあります。穿刺吸引などの外科処置が必要な場合もあります。

 

深部静脈血栓症による肺梗塞

この合併症を予防するために、手術中には下肢に弾力性のあるストッキングを着用し、間歇的圧迫装置を下腿に装着して使用します。

 

皮下気腫

内視鏡操作の合併症です。二酸化炭素が皮膚の下にたまって不快に感じることがありますが、数日で自然に吸収されます。

 

術後の腹膜炎

小さな腸の傷に気がつかなかった場合、後で腹膜炎となり、再手術が必要になる場合があります。

 

 

 

術後の処置・経過観察

  • おなかに管(ドレーン)が入っています。
  • 翌日にはベッドに座るところからはじめ、歩行もできます。
  • 腸の動きを確認しながら水分や食事を再開します。
  • 術後数日は感染がなくても発熱がみられることがあります。
  • ドレーン、点滴の管は手術後1週間程度で抜去します。状態に応じて長くなることもあります。
  • 手術後10日目以降に尿管カテーテルを抜去します。状態に応じて長くなることもあります。
  • 手術後2週間以降で全身状態に問題がなければ退院できます。
  • 退院後の術後経過観察としては、全身状態や生活の質の評価、CT検査等を定期的に行います。

上記はあくまで順調な術後経過の場合であり、実際の術後経過には個人差があります。また腸管の動きによって食事の開始時期は変動します。術後の全身状態の回復にも大きな個人差がありますのでご了承ください。

 

 

 

初診から治療までの流れ

1.初診(泌尿器科外来)

 

他院にて検査・診断された方は、担当先生にお願いして紹介状と病理診断および画像情報の資料を用意してください。

2.2回目の診察(泌尿器科外来)

 

必要資料を検討し、再度外来担当医より治療の説明をさせていただきます。説明を受けられ、治療を希望されれば、治療の日程を決めさせていただきます。

3.術前チェックおよび麻酔科(歯科)受診

 

全身麻酔のリスクをチェックするため、血液検査、心電図、呼吸機能検査、胸部および腹部X線検査を行います。麻酔科の術前外来を受診していただき、麻酔についての説明を聞いていただきます。また周術期の口腔ケアのために、歯科を受診していただきます。

4.手術説明(泌尿器科外来)

 

麻酔科、歯科受診に合わせて主治医より手術についての細かい説明を聞いていただきます。ご家族、お知り合いの方の同席をお願いしています。

5.入院(約2~3週間)

 

手術前日に入院、当日はご家族、お知り合いの方の来院をお願いしています。翌日より歩行が可能ですので、付き添いは必ずしも必要ではありません。

 

 

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