SSH RSCSaiseikai Shiga Hospital Robotic Surgery Center
ロボット手術センター

 

 

 

 

 

 

婦人科領域の疾患とは

婦人科領域の疾患は、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍、性器脱、腟炎、性感染症、月経困難症、月経不順、更年期障害などがあります。

 

 

手術支援ロボットによる婦人科領域の疾患に対する手術とは

当院では手術支援ロボットによる婦人科領域の疾患に対する手術を2021年7月から実施しています。

 

当院でロボット支援手術を開始した婦人科領域の疾患は、子宮筋腫などの良性腫瘍や子宮頸がんに対する子宮頸部高度異形成などの前がん病変(がんになる前の状態)です。

 

なかでも子宮筋腫は約30%の女性に認められるとされており、また子宮頸部高度異形成の患者さんも近年増加傾向にあり、必然的に当科でもこれらの疾患の治療を行うことが多くあります。

 

当院の手術支援ロボットによる婦人科領域の対象疾患

 

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮を形成する筋層から発生する良性腫瘍で、約30%の女性に認められます。

しかしその発生部位や数や大きさは個人差があります。治療法には多くの選択肢があり、手術以外では筋腫の縮小を期待するホルモン療法(偽閉経療法)や、放射線科が行う子宮動脈塞栓術(UAE)といった治療があげられます。

筋腫を摘出する治療が手術であり、妊娠を希望される場合には筋腫のみを摘出し子宮を温存する手術を行いますが、一方で子宮筋腫が治る見込みが最も高い治療は子宮全摘術となります。

 

なるべく患者さんの希望に添った治療を行いますが、子宮筋腫には過多月経や月経時痛などを伴うことが多く、女性ホルモンにより筋腫が徐々に増大するため症状が増強して治療法の変更が必要となり、最終的に子宮全摘術を行うとことも珍しくありません。

 

 

子宮頸部高度異形成

子宮頸がんは子宮頸部の細胞にヒトパピローマウイルス(HPV)が長期間持続的に感染することで発生することがわかっており、正常な組織から子宮頸がんへとがん化する過程である異形成という状態で診断することも可能です。

この異形成のなかでも最もがんに近い段階を子宮頸部高度異形成といいます。

この状態では自然に軽快することは難しいため、子宮頸部のみを切除する子宮頸部円錐切除術という手術を行います。

ただ高度異形成は近年若年者を中心に全年齢で増加しており、円錐切除後の再燃や高度異形成と子宮筋腫など他疾患との合併などもみられます。

このような場合で妊娠を希望されない方であれば子宮全摘術が最も有効な治療法となります。

 

 

今までの手術とロボット支援手術の違い

子宮全摘術は婦人科領域で多く行われており、手術の方法としては『開腹手術』と『腹腔鏡手術』に分けられます。

腹腔鏡手術は、下腹部の4~5カ所の小さいきずから筒状のポートというものを装着し、そこからカメラや手術を行うための鉗子を挿入して行います。

開腹手術と比較して、きず口が小さいため術後の痛みが少なく、手術後の回復が早く早期退院が可能です。

また、きず痕が小さいことや術後の癒着(※1)も少ないというメリットもあります。

しかし非常に大きい腫瘍や、過去の手術などの影響で腹腔内の癒着が非常に強い場合などでは『腹腔鏡手術』自体が困難であり、『開腹手術』を選択します。

(※1)本来は離れているはずの臓器や組織面が、外傷や炎症によって、くっつくこと。

 

さらに『腹腔鏡手術』は「腹腔鏡下手術」と「ロボット支援手術」に分けられます。

これらの異なる点としては、きずの位置の違いなどがありますが、最も大きな違いは実際に手術を行うために腹腔内に挿入する鉗子にあります。

従来の「腹腔鏡下手術」の鉗子はまっすぐな直線状であるのに対し、「ロボット支援手術」の鉗子は多関節鉗子という細かな動きが可能な鉗子を用いるため、さらに繊細な手術操作が可能というメリットがありますが、「腹腔鏡下手術」よりもやや視野が限られることや、こどもさんや体の小さい方には適さないというデメリットもあります。

 

 

 

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