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がん登録推進チーム

がん登録とは、病院でがんと診断されたり、治療されたりしたすべての患者さんのがんに関する情報を登録し、その情報の集計、分析を行い、がん対策などに役立てる仕組みのことを言います。

 

平成25年12月13日には「がん登録等の推進に関する法律」が公布され、全国の病院又は指定された診療所において、がんの診断や治療が行われた場合に、都道府県に届け出ることが義務づけられました(全国がん登録)。更に、専門的ながん診療の提供を行う施設では、院内がん登録を実施するよう定められています。当院では、滋賀県がん診療連携支援病院として2010年(平成22)診断分から国で定められた登録様式に従い、院内がん登録実務認定を受けた診療情報管理士が、がん情報の登録を行っています。

 

がん登録により収集された情報は、全国がん登録や院内がん登録全国集計への届出、滋賀県や国立がん研究センターがん対策情報センターへの情報提供、生存率の計測、がんに関する統計作成など、がん対策の他にもがん患者さんや市民の皆さんに対して情報提供やがん医療の質の向上を図る目的などで利用されています。

 

なお、がん登録情報に含まれている「個人情報」については、「個人情報保護法」、「済生会滋賀県病院がん登録運用規定」及び「済生会滋賀県病院個人情報保護規定」に則り、適切に保護、管理を行っております。

 

【注意点】

各集計表において、集計値が4例以下の場合、個人が特定される可能性が高いことから「-」と表示しています。なお、0件の場合は、「0」と表示しています。

 

 

 

1.登録数の推移(2019年~2024年診断分)

 2019年2020年2021年2022年2023年2024年
599 588 674 667 667 633
392 455 453 487 541 559
合計 991 1043 1127 1154 1208 1192

登録数の推移

当院のがん登録数は年々増加しており、1,200件前後を推移しています。当院のがん患者さんが増加したことやがん登録の精度が上がったことが要因と考えられます。

男女比で見ると男性の割合が多いですが、女性の割合が少しづつ増えています。

 

 

2.部位別の患者数(2019年~2024年診断分)

診断年

2019年2020年2021年2022年2023年2024年

部位

件数

割合件数割合件数割合件数割合件数割合件数割合

124

12.5% 120 11.5% 120

10.6%

105

9.10% 122 10.0% 96 8.05%

大腸

結腸

129

13.0%

129 12.3% 117 10.3% 132 11.4% 136 11.2% 143 11.9%

直腸

66

6.65% 64 6.13% 55 4.88% 77 6.67% 75 6.20% 72 6.04%

肝・肝内胆管

24

2.42% 24 2.30%

26

2.30% 38 3.29% 23 1.90% 22 1.84%

75

7.56% 78 7.47%

134

11.8% 136 11.7%

149

12.3% 143 11.9%

乳腺

65

6.55% 118 11.3% 96 8.51% 137 11.8% 152 12.5% 157 13.1%

頭頸部

口腔・咽頭

13

1.31% 10 0.95% 5 0.44% 16 1.38% 7 0.57% 7 0.58%

喉頭

-

- - - - - - - - - - -

その他

-

- - - - - - - - - - -

膵/胆道

胆嚢・胆管

12

1.21% 12 1.15% 20 1.77% 17 1.47% 16 1.32% 23 1.92%

36

3.63% 21 2.01% 37 3.28% 33 2.86% 37 3.06% 40 3.35%

婦人科系

子宮頸部

42

4.23% 49 4.69% 53 4.70% 31 2.68% 47 3.89% 38 3.18%

子宮体部

7

0.70% 8 0.76% 11 0.97% 18 1.56% 10 0.82% 24 2.01%

卵巣

8

0.80% 9 0.86% 12 1.06% 11 0.95% 14 1.15% 18 1.51%

その他

-

- - - 0

(0%)

-

- - - - -

腎尿路系

前立腺

100

10.0% 114 10.9% 111 9.84% 103 8.93% 113 9.35% 96 8.05%

膀胱

42

4.23% 38 3.64% 46 4.08% 49 4.24% 47 3.89% 45 3.77%

腎・他の尿路

42

4.23% 32 3.06% 45 3.99% 41 3.55% 45 3.72% 48 4.02%

その他

6

0.60% 5 0.47% 6 0.53% - - - - - -

造血器

悪性リンパ腫

22

2.21% 37 3.54% 60 5.32% 43 3.72% 47 3.89% 54 4.53%

多発性骨髄腫

13

1.31% 8 0.76% 13 1.15% 10 0.86% 13 1.07% 6 0.50%

白血病

19 1.91% 24 2.30% 28 2.48% 47 4.07% 30 2.48% 23 1.92%
その他 35 3.53% 25 2.39% 18 1.59% - - 6 0.49% 11 0.92%

脳・中枢神経系

32

3.22% 40 3.83% 35 3.10% 33 2.86% 45 3.72% 44 3.69%

その他

骨・軟骨

-

- 0 (0%) 0 (0%) - - - - - -

皮膚

32

3.22% 15 1.43% 19 1.68% 18 1.56% 16 1.32% 17 1.42%

食道

12

1.21% 20 1.91% 19 1.68% 25 2.16% 14 1.15% 22 1.84%

甲状腺

5

0.50% 12 1.15% 14 1.24% 6 0.52% 10 0.82% 14 1.17%

原発不明

8 0.80% 9 0.86% 8 0.70% 6 0.52% 8 0.66% 8 0.67%

その他

13

1.31% 12 1.15% 13 1.15% 7 0.60% 14 1.15% 12 1.00%

 

部位別の患者数

当院のがん患者さんを部位別でみると、大腸(結腸・直腸)、前立腺や膀胱などの腎尿路系、乳腺、肺、胃、白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍の患者さんが多くなっています。

また、当院では2021年7月に呼吸器外科を開設し、肺がんに対する低侵襲な手術を当院でも行えるようになったことから、患者数が増加しています。

 

 

3-1.年齢構成(2019年~2024年診断分)

年齢区分

2019年

2020年2021年2022年2023年2024年総計

0-39歳

3.2%

4.5% 4.0% 3.7% 4.0% 4.5% 4.0%

40-49歳

6.5%

9.0% 6.9% 6.5% 7.4% 7.4% 7.3%

50-59歳

9.6%

9.9% 12.2% 11.8% 10.6% 12.2% 11.1%

60-69歳

24.0%

18.1% 19.2% 19.6% 18.4% 17.0% 19.3%

70-79歳

32.7%

35.6% 33.5% 33.6% 36.0% 33.8% 34.2%

80-89歳

20.3%

18.6% 18.4% 20.8% 20.2% 21.3% 20.0%

90歳以上

3.7%

4.3% 5.9% 4.0% 3.5% 3.8% 4.2%

年齢構成

70代の患者さんが最も多くなっています。次いで80代、60代と続いています。60代以上の患者さんが8割を占めます。

 

 

3-2.年代・部位別(2024 年診断分)

0-39歳の患者さんは婦人科系が最も多くなっています。40-49歳の患者さんは乳腺が最も多くなっています。60代の患者さんは肺と腎尿路系が多く、70歳以降は腎尿路系が最も多くなっています。

 

 

4.医療圏別患者数(2019年~2024年診断分)

医療圏

2019年

2020年2021年2022年2023年2024年

総計

割合

件数

件数件数件数件数件数

湖南医療圏

栗東市

311

309 330 318 345 348

1961

29.2%

守山市

143

156 140 133 150 131

853

12.7%

草津市

159

174 179 209 218 171

1110

16.5%

野洲市

80

90 78 81 106 104

539

8.0%

湖南医療圏 計

693

729727741819754

4463

66.5%

甲賀医療圏

湖南市

164

189 211 181 200 225

1170

17.4%

甲賀市

31

35 51 57 51 53

278

4.1%

信楽町

-

- - - - 0 -

-

甲賀医療圏 計

195

224262238252278

1449

21.6%

東近江医療圏

近江八幡市

11

17 22 45 31 36

162

2.4%

東近江市

8

6 24 23 17 22

100

1.5%

日野町

-

- 8 11 - 5

-

-

竜王町

10

13 8 0 8 7

46

0.7%

東近江医療圏 計

31

3762795670

335

5.0%

大津医療圏

大津市

36

31 34 41 49 44

235

3.5%

大津医療圏 計

36

3134414944

235

3.5%

湖東医療圏

愛知郡

-

- - - - 7

-

-

彦根市

5

- 5 - - -

-

-

甲良町

-

- - - - 0

-

-

豊郷町

-

0 - - - -

-

-

多賀町

0

0 0 0 0 -

-

-

湖東医療圏 計

9

3910512

48

0.7%

高島医療圏

高島市

-

- - - - -

-

-

高島医療圏 計

-

-----

14

-

湖北医療圏

長浜市

-

- - 5 - -

13

-

米原市

0

- - - - -

9

-

湖北医療圏 計

-

---85

32

-

県外

県外

21

15 28 32 17 25

138

2.1%

県外 計

21

1528321725

138

2.1%

総計

991

1043 1127 1153 1208 1192

6714

100.0%

医療圏別患者数

がんの診断や治療のために当院へ来院される患者さんのうち、湖南地域にお住まいの方が約7割、甲賀地域にお住まいの方が約2割を占めています。市別でみると、栗東市、湖南市、草津市にお住まいの方が多くなっています。

 

 

5.来院経路別患者数(2019年~2024年診断分)

来院経路

「来院経路」とは、がん患者さんが診断や治療のためにどのような経路(きっかけ)で当施設を受診したかを把握する項目です。

当院は、地域の医療機関や検診/健診施設から紹介されている患者さんが一番多くなっており増加傾向です。次に、他疾患で当院通院中に偶然がんが疑われ、検査の結果がんと診断された患者さん、症状があって自主的に当院を選択し受診したケースが多くなっています。「その他」は主に救急車で搬送された患者さんが分類されています。

 

 

6.発見経緯別患者数(2019年~2024年診断分)

   
   

 

「発見経緯」とは、がんが見つかったきっかけを把握するための項目です。

ほとんどの部位で件数が多くなっている「その他」は、がんによる自覚症状があった場合に分類される項目です。大部分の方が 何らかの症状がありがんが発見されたことを意味しています。

一方で、がん検診や健康診断などでがんが発見され、当院へ受診・治療を行った方は大腸・肺・乳腺で多く、特に肺や乳腺は増加傾向にあります。

 

 

.発見経緯×進展度(2019年~2024年診断分 胃、大腸、肺、乳腺、子宮)

発見経緯・進展度

「進展度」とは、がんがどのくらい広がっているか図る項目です。基底膜を越えてがん細胞が入り込んでいない場合を「上皮内」、がんが発生元の器官にとどまっている場 合を「限局」、がんが発生元の直結したリンパ節へ転移があった場合を「リンパ節転移」、がんが発生元の器官と隣接する器官の境界を越えて進展した場合を「隣接臓器浸潤」、がん細胞が発生元の器官から離れて他の部位に移動して増殖している状態を「遠隔転移」と定められており、上皮内から遠隔転移の方へいくほど、がんが進んだ状態となります。

上図は、滋賀県の市町でがん検診を行っている部位について、発見経緯と進展度別で表したものです。がんが「がん検診や健康診断等」で指摘された場合、早期がんの状態である上皮内と限局の割合は約7割となっていました。一方、主に何らかの自覚症状がありがんが発見された場合では、上皮内と限局の割合が約4割に留まり、がんが進んだ状態であるリンパ節転移、隣接臓器浸潤と遠隔転移の割合が5割を超えていました。

がんが早期の状態で発見される割合は、がん検診健康診断の方が自覚症状があって発見されるよりも多い傾向にあり、がん検診や健康診断はがんの早期発見に有用であることがデータからも示されています。

 

 

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