病院紹介

1.手洗いの遵守率-擦式アルコール製剤の使用量-

項目の解説

日々、患者さんのケアを行う医療従事者の手指は、病院感染を引き起こす医療関連の病原体の感染伝播経路となりやすいとされています。医療関連の病原体は、創などの感染を引き起こすような部位からだけではなく、正常で損傷のない部位からも多く検出されると言われており、そのような病原体の感染防止対策として最も基本的で重要なことは、アルコールベースの手指消毒薬を使用した手洗いの励行とされています。

しかし、現場の人手不足や業務量が増大すると、感染管理への注意が散漫となるなど、感染と人手不足や業務の過密さとの関連性が示唆されるという研究結果もあります(『医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン(2002年)』)。


この指標は、手洗いが院内感染防止の重要な行為であるということが院内でどの程度認識され、実践されているかを測り、認識度と実践とのギャップを埋め、行動変容に結びつけていくことを目的としています。

 

 

定義・計測方法

年次推移

 

 

WHO(世界保健機関)では、手指衛生の5つのタイミング(表1を参照)を定めており、日常的な手指衛生には、「擦式アルコール製剤」を使用するようガイドラインで勧告しています。当院でもそのガイドラインに従い、院内各部署やエレベーターホールなどに擦式アルコール製剤を設置しています。更に医師や看護師は、必要なタイミングですぐに使用できるように擦式アルコール製剤を携帯しています。

2016年度の一人の患者さんに対する擦式アルコール製剤の使用量は10.3mlと使用量は増加していました。設置型の擦式アルコール製剤は1プッシュで約1.75ml、携帯型のものは約2ml出てきますので、1人の患者さんに対し約5回使用していることとなり、1日あたりの訪床回数を考えると、使用量は少ないと考えます。

当院には感染管理認定看護師が2名在籍しており、様々な感染防止対策を行ってきました。取り組みとしては、手洗い強化月間を設け、全職員を対象に手洗い評価を行ったり、蛍光着色剤を手に塗った後、手洗いを行い洗い残しの度合いを評価したりしました。また、ICT(感染制御活動推進チーム;Infection Control Team)のラウンドにて、実際に目の前で職員に手を洗ってもらい、評価・指導を行いました。さらに、リンクナースやスタッフによるポスター作成や院内各部署にて勉強会を開催し、手洗いの啓発活動を行ってきました。

「手指衛生遵守率」は、病院の感染制御を語る上で極めて重要な指標となります。今後は、手指衛生サーベイランスを継続し、データを蓄積することで当院におけるベースラインを確立したいと考えます。
 

【表1】手指衛生の5つのタイミング