病院紹介

2.血液培養検査の2セット採血実施率

項目の解説

血液は通常無菌状態で保たれていますが、感染が起こった場所から血液内へ病原体が進入すると、病原体が全身に広がり、菌血症や敗血症という重篤な感染症となります。それを防ぐためには、感染症に罹患したら、速やかに病原体を特定し治療に効果的な抗菌薬を選択する必要があります。感染源からの分泌物(啖や尿など)を調べ病原体を特定する検査を「培養検査」といい、血液内の病原体の有無を調べることを「血液培養検査」といいます。

 

病原体にも様々な形質がありますが、大きく好気性菌と嫌気性菌に分けることが出来ます。好気性菌は生きるために酸素が必要な菌、逆に嫌気性菌は酸素が不要な菌で、二つの菌は生きる環境が異なります。そこで、血液培養検査を行う場合は、それぞれの菌が生きる環境の2つのボトルを用意します(1セット)。


病原体は血流中に常時存在するわけではなく、1セットの検査では原因菌を特定すること(検出感度)が限られてしまいます(73.2%)。一方、血液培養検査を2セット施行した場合の検出感度は、1セットの場合と比べて約30%近く上昇した(93.9%)という研究報告があります。

 

以上から、血液培養検査では2セット以上採取することが世界的なスタンダードとなっており、実施率をモニタリングすることは、感染症治療の行う上で非常に重要です。

 

定義・計測方法

 

年次推移

 

 

平成27年度の血液培養検査の2セット採血実施率は、68.8%と前年度より約10%上昇していました。当院では、ICT(感染対策チーム)にて、抗菌薬を使用している患者さんに血液培養検査を行っているかをチェックし、施行がない場合は、担当医へ検査実施を要請しています。

多くの病原体へ効果のある抗菌薬(広域スペクトル抗生剤)を漫然と使用し続けると、次に抗菌薬を投与しても効かない状態となる場合があります(耐性菌の出現)。感染症を起こしている病原体を2セットの血液培養検査にて特定し、培養された病原菌に特に効果的な抗菌薬を選択して治療すると、より効率のよい完全な治療となり、結果的に耐性菌が生じにくくなります。

当院の現状は、救命救急センターと外来における血液培養2セット採取率が比較的高く(70.8%)、病棟での採取率が低い傾向です(52.1%)。今後は、病棟での血液培養2セット提出率アップに繋がるようアナウンスし、更に抗菌薬の適正使用に向けて活動していく予定です。