栄養サポートチームとは、職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団(チーム)です。病気の早期回復や医療の質の向上において、栄養管理は非常に重要です。低栄養状態の入院患者さんを対象に、栄養状態を判定し、個々の疾患や治療に応じた栄養管理の方法を提言することで、治療の完遂、回復、退院、早期の社会復帰等を図ります。これらを多職種で構成されたチームで実施(チーム医療の一環として栄養管理)し、治療効率を高めます。
※患者さん1人に対して数回介入した場合も各々回数に含む
当院では、2004年から栄養サポートチーム(NST:nutrition support team) による栄養サポート活動を行っています。NSTは医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、医事課事務員の多職種により構成しています。2023年度のチーム介入患者件数は988件となっています。
低栄養とは 栄養素が量的、質的に不足することにより、正常な代謝が行われなくなる状態です。低栄養は食事摂取不足や代謝の変化により起こり、筋肉などの体組織の減少や免疫機能低下やストレスホルモンの過剰分泌などの異常を来します。 低栄養の患者さんは、術後の感染症など合併症が多く、また創傷の治癒は遅いので、入院期間が長くなります。そのため、予防目的に早期より適切な管理が必要です。
入院時の栄養評価は看護師や管理栄養士による栄養障害のスクリーニング評価(SGA:Subjective global assessment 主観的包括的評価)や、臨床検査技師による低アルブミン血症者の抽出により行います。カンファレンスにて対象者を決定し、毎週金曜日にNST回診を行い栄養状態を評価し、栄養改善に向けた取り組みを行っています。
また、各病棟のNST委員の看護師とNSTメンバーで月1回の会議を行い、症例検討会と勉強会を行っており、勉強会の内容は病棟・部署スタッフにも伝達し、NSTの普及に努めています。職員への勉強会は外部講師を招聘し、定期的に開催しています。
NST介入により創傷の治癒が早くなり、また合併症が減少し、入院期間も短縮できる事が多くの施設で確認され、2010年以降は国の指導により、病院でのNST稼働が推奨されています。当院では、入院中の患者さんに適切な栄養管理を提供し、より良い医療が受けられる様に、NST活動を推進しています。