近年、我が国では高齢化に伴い、2017年に新たに診断されたがんは男性558,869例、女性418,510例で総数は約100万人です。また2018年にがんで死亡した人は男性218,625人、女性154,959人で総数は約38万人と、一部のがんを除き、がん患者数は増加しています。
しかし、早期診断・治療など医療技術の進歩から、多くのがんの死亡率は年々減少傾向にあります。2009年から2011年に診断されたがん患者さんの 地域がん登録での全癌の生存率は、5年生存率男性66%、女性66.9%と改善しています。従って がん治療を終えた、あるいは治療を受けつつある患者さんは増加傾向にあり、がんが“不治の病“であった時代から、”がんと共存“する時代になりました。
近年では、がん自体に対する治療のみならず、症状緩和や心理・身体面からのケアから療養支援、復職などの社会的支援の重要性が指摘されています。この新しいがんと共存する時代の医療のあり方として、特にリハビリテーションの必要性が強調されています。
がんに罹患すると日常生活動作(Activities of daily living:ADL)に制限を生じ、生活の質(Quality of life: QOL )を低下させてしまいます。がんのリハビリでは、これらの問題に対して、二次障害を予防し、機能や生活能力の維持改善を図ることを目的としています。
※当該年度中の複数回の入院で当該リハビリテーションを実施している患者は、その入院ごとに「1」とカウントしている。
※がんリハビリ対象患者のうち、他疾患リハビリを算定した患者は分母から除外している。
当院では平成25年3月よりがん患者リハビリテーションを行っています。
現在、医師7名、看護師7名、理学療法士(PT)12名、作業療法士(OT)4名、言語聴覚士(ST)2名が、がん患者リハビリテーション研修を終了し、がん患者リハビリテーションを行っています。
リハビリテーション科では 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士と連携し、患者さんの情報共有を行い、がん治療前から体力低下予防目的にリハビリを行える体制を整え、がん患者リハビリテーションに関わっています。
2020年度は全がん治療入院患者の約74%のリハビリを実施しました。前年度より件数と割合減少しています。これは、新型コロナウイルス感染症の影響も有り、感染予防を優先することにより、従来のリハビリテーションが提供できていなくなったのが原因です。
今後も、全てのがん患者さんのリハビリに介入出来るように、チームで取り組んでいきたいと考えております。
文責:リハビリテーション技術科 がんリハビリチーム