転倒転落により、骨折などが発生した場合、患者さんのQOL(生活の質)の低下をきたし、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。歩行困難な方や高齢者の多い病院など、病院機能によって発生比率も違います。また、職員が予防に全力を尽くしても、危険因子(転倒転落を引き起こす原因)を多く持つ患者さんにおいては、予防が困難な場合があります。
しかし、防止の為の施設環境整備、職員の発生防止の知識習得、転倒転落時の衝撃を吸収する装置やマットの設置など、万一転倒した場合にも外傷が軽く済むような工夫など、最低限の外傷で済むような対応が求められます。
本指標は、病院全体の転倒転落を予防し、外傷を軽減する取り組みを表しています。
・‰(パーミル)は、入院患者1000人あたり何人転倒・転落しているかを表しています
参考値
出典:日本病院会QIプロジェクト2023年度 「入院患者の転倒・転落発生率」中央値
入院患者延べ数に対する転倒転落件数です。2024年度は、317件(2.40‰)の転倒転落の報告がありました。そのうち骨折に至ったものは、8件(2.5%)でした。
当院では、入院時にアセスメントシートを用いて患者さんの転倒転落の危険性を把握し予防に努めています。転倒転落が発生した場合は、安全管理室と発生部署で事例検証し具体的な対策に結びつけています。
また、転倒転落アセスメントシートでリスクがあると判断された患者さんに対して、転倒転落防止のために様々な離床センサーを設置する場合もあります。患者さんが立ち上がるなどの動作を感知して医療者側に伝えるセンサー(※図1)の他、赤外線センサーやベッドセンサーも活用し転倒転落を事前に防止できるよう対策をしています。
離床センサーを使用しても転倒転落を100%防ぐことは困難ですが、積極的に予防的策を講じて、最小限にするよう今後も取り組んでいきます。
▼図1 離床センサーの設置