病院紹介

1.入院患者の転倒・転落発生率

項目の解説

転倒転落により、骨折などが発生した場合、患者さんのQOL(生活の質)の低下をきたし、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。歩行困難な方や高齢者の多い病院など、病院機能によって発生比率も違います。また、職員が予防に全力を尽くしても、危険因子(転倒転落を引き起こす原因)を多く持つ患者さんにおいては、予防が困難な場合があります。

 

しかし、防止の為の施設環境整備、職員の発生防止の知識習得、転倒転落時の衝撃を吸収する装置やマットの設置など、万一転倒した場合にも外傷が軽く済むような工夫など、最低限の外傷で済むような対応が求められます。 

 

本指標は、病院全体の転倒転落を予防し、外傷を軽減する取り組みを表しています。

 

 

定義・計測方法

・分子はインシデント・アクシデント報告による報告件数です
  (患者付き添い者、職員、学生など入院患者以外の転倒・転落を除く)
・‰(パーミル)は、入院患者1000人あたり何人転倒・転落しているかを表しています

 

年次推移(グラフ1)

参考値
出典 : 日本病院会QIプロジェクト2017年度 「入院患者の転倒・転落発生率」中央値

 

 

転倒転落件数のうち骨折に至った割合

定義・計測方法

 

年次推移(グラフ2)

 

 

入院患者延べ数に対する転倒転落件数です。2018年度は、132件(1.06‰)の転倒転落の報告がありました。そのうち骨折に至ったものは、3件(2.3%)でした。発生率は参考値より低くなっています(グラフ1)。毎年100件を超える転倒転落が発生していますが、減少傾向にあります(グラフ2)。

2016年度に件数(グラフ1)が増加した要因の一つに、スタッフの意識の変化が挙げられます。転倒転落防止に関して看護部業務改善委員会で取り上げ、検討していく中でスタッフ一人一人の意識が高まり、レポートを積極的に提出する風土ができあがり、例えばベッドサイドに座った状態で発見した状態でも転倒転落としてレポート提出を行うようになり、報告件数が増加しました。

その後、過去の転倒転落の事例や骨折に至った事例について、看護部にて発生時間帯や発生場所などの分析を行い、対策が正しかったかなどの検証を行いました。検証の結果、夜間帯や勤務交替の時間帯など、人的資源が手薄となる時間帯に転倒転落が集中していたことが判明し、看護部全体で分析結果の情報共有を行いました。そして、勤務体制の変更などの対策や転倒転落アセスメントに応じて転倒転落のリスクの高い患者さんへの対応を行ったところ、骨折まで至った件数が減少するなどの効果が現れました。また、家族へリスクの説明をし情報を共有することで、協力が得られていることも減少の一つの要因と考えます。

当院では、入院時にアセスメントシートを用いて患者さんの転倒転落の危険性を把握し予防に努めています。転倒転落が発生した場合は、安全管理室で事例検証し具体的な対策に結びつけています。患者さんが立ち上がるなどの動作を感知して医療者側に伝え、転倒転落を事前に防止できる「離床センサー(図1)」を2012年に13台増設しました(リスクを事前に把握する「転倒転落アセスメントシート」でリスクがあると判断された患者さんが対象)。

転倒転落を100%防ぐことは困難ですが、積極的に予防的策を講じて、最小限にするよう今後も取り組んでいきます。

図1 離床センサーの設置