脳卒中(※)の救急診療では、病歴、身体所見および神経学的所見を迅速に把握し、最初に頭部CTを施行して脳卒中の診断や病型、治療方針を決め、早期に治療を開始することが重要です。
発症からの時間経過、重症度、臨床病型により、選択できる治療法が異なってくるため、搬入後の診断に必要な画像検査が、どれだけ迅速に提供できたかを計ることは、診断とそれに続く治療開始の迅速性を示す大切な指標です。
※脳卒中とは、脳血管閉塞(梗塞)や破綻(出血)により神経系の脱落症状(意識障害、運動障害、感覚障害)が急激に出現する疾患の総称です。戦後の長い間、日本人の死亡原因の第1位でしたが、近年は、悪性腫瘍、心疾患について3位です。しかし、特に脳梗塞患者数は、人口の高齢化に伴い、近年増加傾向にあります。脳卒中は高齢者の寝たきりの原因の1位であり、社会的にも重要な疾患です。
※毎年12月の1ヶ月間で計測
※他院で診断された後、当院へ救急車で転医搬送された症例を除く
※緊急CT検査の対象と判断された患者
2023年の救急車搬入時間からCT検査施行までの時間(中央値)は14分と2022年度より6分短縮しています。ドクターカーやドクターヘリが出動した事例では、10分以下の症例もありました。
計測時間には、検査施行までの様々な要素が含まれます。搬入時の意識状態、診察時間、検査室までの移動が可能になるまでの全身状態を安定させる時間も含まれています。これらはある程度必要な時間ですが、患者さんの搬入から診察開始までの時間、CT検査実施までの判断時間、CT検査の依頼から実施までの待ち時間の短縮が望まれます。
当院は、救命救急センターからCT検査室へのアクセスが良い環境にあります。今後も時間を計測し、遅延が生じたケースでの問題点を検討していきたいと考えています。