足がむくむ、足が痛い、足がしびれる、足が冷える、足の傷・怪我が治りにくい、そんな症状でお困りの方はいらっしゃいませんか?
放置しておくと、場合によっては身体の機能を失ってしまうこともあります。
特に糖尿病をお持ちの方は、巻き爪、胼胝(たこ)などの比較的軽いトラブルでも重症化し、足の壊疽につながることがあります。
足の血流が悪くなり、潰瘍ができてしまった場合は治療が難しく、組織の壊死が進めば切断が必要となります。
早期に治療を開始することで重症化を予防することが期待できます。
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日本には、欧米では一般的な「足病医」という足の病気を専門とする医師がほとんど存在せず、足の疾患ごとに扱う診療科が異なるため、患者がどの診療科を受診すればよいかわからず、治療が手遅れになることがありました。
当院では下肢創傷治療センターを開設し、足のトラブルを抱えた方がスムーズに診療を受けられるように専門外来を設け、各診療科が緊密に連携をとって足病の診療を行っています。
治療の難しい足の傷に対しては、形成外科、循環器内科を中心に複数の診療科や職種が連携し、集学的な治療を行っています。
多くの診療科が関わる足病診療ですが、当院にはほぼ全ての診療科で常勤医が在籍しており、傷以外でも足のトラブル全般に対応できることが総合病院ならではの強みです。
まずは当院の外来を受診ください。
ステップ1で決定した治療方針に沿って、治療を行います。
心臓の筋肉を栄養する冠動脈疾患以外の動脈病変を末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease: PAD)と呼び、下肢動脈疾患を含む末梢血管に対するカテーテル治療をEVT(EndoVascular Treatment)といいます。
EVTでは通常、局所麻酔下で大腿動脈や肘動脈からカテーテルを挿入し、その中からガイドワイヤーという細い針金を持ち込み、病変部を通過させ、ガイドワイヤーにのせて先端に小さな風船の付いたバルーンカテーテルを病変部まで進め、風船を膨らませて病変部を内側から拡張します。バルーン拡張のみでは開存率が低いことが予想される場合、病変部位によっては筒状の金属の網(ステント)を留置します。
大腿動脈から治療を行った場合は術後4~5時間のベッド上安静が必要ですが、通常は翌日に退院が可能です。
下肢血流障害に対する外科治療として、「下肢バイパス手術」があります。
これは、血管の閉塞部位を迂回して、新たな血管(自家静脈や人工血管を用いる)を移植することで血行を再建する手術です。
手術は全身麻酔下に行い、約2~3時間の手術時間を要します。動脈の閉塞部位や長さにより、いずれの血管を用いて、どのようにバイパス血管を移植するかを判断します。術式には主に開腹Y グラフトバイパス術、大腿動脈-大腿動脈バイパス(F-Fバイパス)、大腿動脈-膝窩動脈バイパス(F-Pバイパス)があります。
術後の入院期間はいずれも約10~14日間であり、術翌日より歩行訓練を行います。
感染を起こしてしまったキズは、洗浄や軟膏治療、抗生剤投与により清浄化します。場合によっては、感染部位を切開したりする手術を行います。
キズを小さくするために、陰圧閉鎖療法という特殊な治療も行っております。キズに、持続的に陰圧をかける機械を装着し、キズの収縮・治癒を促します。
壊死してしまった足指を切除したり、潰瘍に皮膚移植をおこなったりなど、キズを早く治すために様々な手術を行っております。
下肢静脈瘤に対して医療用弾性ストッキングや弾性包帯を用いて、足を圧迫することで表在静脈への血液の逆流をおさえることで、下肢静脈瘤による症状を緩和したり、進行を防止することが可能です。
しかし、圧迫療法は下肢静脈瘤に対する根本治療ではなく、静脈瘤そのものが治るわけではありません。
下肢静脈瘤に対する根本治療として、当院では主に血管内治療(血管内焼灼術、血管内塞栓術)を1泊2日で行っています。局所麻酔下に血管に針を刺して、カテーテルを挿入し血管内から静脈を焼灼し閉塞する「血管内焼灼術」や、同様にカテーテルを挿入し血管内に医療用の「のり」を注入し静脈を閉塞させる「血管内塞栓術」を行っています。
いずれも低侵襲な治療であり、術後すぐに歩行も可能です。静脈瘤によるむくみ、かゆみ、疼痛、こむらかえりなども改善することが可能です。
また、静脈瘤を原因とした難治性の皮膚炎や皮膚潰瘍も、静脈瘤に対する根本治療を行うことで早く治療することができます。
四肢の血行障害をきたす疾患で、動脈の閉塞病変を原因とするものに末梢動脈疾患があります。
代表的なものに、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎、レイノー症候群などがあります。腰部交感神経節ブロックは、下肢の血行改善、交感神経が関与する痛みを緩和する目的で行う神経ブロックの一つです。
体の深い部位の神経ブロックを行うため、透視下で安全に施行しています。
また、硬膜外ブロックなどその他の神経ブロックを行う場合もあり、病態によって適応の判断をしています。
疼痛(ペインクリニック)・緩和ケア科は、痛みの治療を専門とする科で、神経ブロックと薬物療法を組み合わせて治療しています。
薬物療法においては、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェン、神経障害性疼痛に使用される薬剤、オピオイド鎮痛薬やそれに準じる薬剤を、患者さんの痛みの要因と全身状態、痛みの強さ、また、患者さんの生活スタイルに応じて専門的に、様々に組み合わせて、一人一人にあった形で調整し、痛みの緩和をしています。
苦痛を感じずに普段の日常生活を送ることができるよう、取り組んでいますので、お気軽にお声がけください。
LDL(Low Density Lipoprotein)は動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールの主成分で、LDLアフェレーシスとは、静脈に管を入れて血液を体内から取り出し、LDLを取り除いた後、再び体内に戻す治療法です。
LDLの他にも血液を固まらせる物質や血管を収縮させる物質、炎症を悪化させる物質などを吸着し取り除くことが報告されています。
LDLアフェレーシスにより、血液粘度の低下、赤血球変形能や微小循環、血管内皮機能の改善が示されており、臨床症状としては、下肢冷感やしびれなどの改善、間欠性跛行の改善による歩行距離の延長などの効果が報告されています。
足の変形などでキズができやすい状況の方には、義肢装具士によるフットウエアの作成を依頼し、「キズができる前に予防する」対策も行っています。
その他、創傷被覆材(ドレッシングフォーム)による浸潤療法などを実施しています。
フットケア看護外来では、足のトラブルでお悩みの方に医師の診察をふまえ、皮膚・排泄ケア認定看護師・糖尿病認定看護師・弾性ストッキングコンダクターなど専門の資格を持つ看護師が多職種協働で個々の患者さんにあった爪きりなど、施術を通して足のケア方法の説明を行っています。
足のケアでお困りの方はいつでもご相談ください。
下肢創傷領域におけるリハビリでは、「創傷の治癒・改善に向けて、立位・歩行状態の評価」「下肢創傷治療中の廃用症候群の予防および身体活動量の維持」の2つの目標をもとに進めております。
立位・歩行時の創部への荷重の増加は、治癒を阻害する要因となります。
そのため、インソールや装具装着時の歩行状態の確認、および必要に応じて、その状態に適した杖や歩行器など歩行形態の提案をさせていただきます。
創傷の治癒を阻害しないようにしながらも身体活動量を維持していく。そのことが重要であると考えております。
担当科 |
手術名 | 2019年度 | 2020年度 |
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循環器内科 | 経皮的末梢動脈形成術(EVT) |
91 |
83 |
心臓血管外科 | 末梢血管バイパス術 | 0 | 2 |
下肢静脈瘤血管内焼灼術 | 10 | 17 | |
下肢静脈瘤血管内塞栓術 | 1 | 17 | |
形成外科 |
デブリードマン | 23 | 21 |
植皮術・皮弁術 | 12 | 17 | |
切断術 | 7 | 8 | |
腐骨除去術 | 3 | 2 | |
爪甲除去術 ※皮膚科実施分含む | 38 | 38 | |
鶏眼・胼胝処置 ※皮膚科実施分含む | 186 | 103 |
2019年度 | 2020年度 | |
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下肢静脈看護外来 |
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15 |
※2020年11月より下肢静脈看護外来を開始
下肢創傷に関する対応は月曜日・水曜日・金曜日に行っております。
診察ご希望の方は、当院総合受付までお越しください。
受付方法・時間に関しては外来診療のご案内をご参照ください。