診療科・部門

脳神経外科

患者さんのために体を張れるスタッフが、最先端技術を駆使して脳外科手術を行います

国内外の先端施設で磨いた技術を駆使して、迅速・正確・安全な脳神経外科手術を行っています。開設以来の手術件数は8,000件に近づき、治療成績は近畿圏でもトップクラスです。脳動脈瘤・頭部外傷・頸動脈病変・水頭症など、様々な領域のスペシャリストを揃え、脳神経内科や救急集中治療科と協力して、超緊急手術から予防的手術まで、専門科の枠を超えた脳神経疾患の治療をしています。

 

脳卒中ケアユニット(SCU)では、脳卒中専門医が24時間/365日常駐して診療しています。機動力には定評があり、搬入から開頭手術までの最短時間は20分でした。何よりも最大の強みは、スタッフ全員が利益や学術、教育のためではなく、患者さんの診療のために体を張れることです。懇切丁寧な情報提供を行い、患者さんにとって最良の治療を一緒に考えています。

 

主に以下のような検査・治療を行っています

  • 脳動脈瘤

破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血に対しては、原則として急性期手術を行っています。治療を行わないと再破裂により、致命的となる確率が高いからです。当院では今のところ、歴史的に評価の定まったクリッピング手術が中心ですが、動脈瘤の場所や形状、患者さんの全身状態によっては血管内治療専門医ともディスカッションを行い、血管内手術(コイリング)も行っています。
その一方で、脳ドックなどで偶然見つかった未破裂脳動脈瘤の多くは経過観察としています。ただし一旦破裂すると致命的となります。手術成功率は95%を超えますが、多くの未破裂動脈瘤が将来破れる確率は年間1%以下とされているため、動脈瘤の形状や大きさ、部位、患者さんの年齢や全身状態等を考慮して治療方針を慎重に検討しています。また2011年以降は比較的小さな開頭で手術をスピーディーかつ安全に行っております。開頭が小さいため、以前までの手術より皮膚切開が短くなっています。また術後5−6日で退院できるケースが増えています。一般的なクリッピング、コイリングが困難な巨大脳動脈瘤に対しては特殊なバイパスを作成して治療を行っています。(金曜日午後専門外来)

 

  • 脳動静脈奇形

出血例に関しては、再出血によって致命的になる可能性があるため外科的摘出術を行うことが多いです。最近ではONYXという塞栓物質が使用可能となり、非常に安全かつスピーディーに摘出術が行われるようになりました。また未破裂例に関しましては部位や大きさによってはガンマナイフといった放射線治療が有効な場合もあります。こちらは近隣病院と連携して治療を行っております。(金曜日午後専門外来)

 

  • モヤモヤ病

頭蓋内の内頸動脈終末部が進行性に狭窄、閉塞する病気です。そのため脳に血流不足を来たし、手足の麻痺や言葉の障害が出現することがあります。血流不足が顕著な場合には脳梗塞となり、症状が永続することがあります。また成人の場合は出血を起こすこともあります。脳の血流不足を補うためにバイパスの手術が有効なケースがあります。脳血流シンチやアセタゾラミド負荷試験などを行い、手術適応を慎重に検討します。(金曜日午後専門外来)

 

  • 脳梗塞

脳梗塞には様々な原因がありますが、血栓などで脳の太い動脈が詰まると、数時間で大きな脳梗塞が生じ、一度梗塞になった脳は決して回復しません。そこで、症状が出てからすぐに(数時間以内)来院された患者さんに対しては、薬剤で血栓を溶かしたり、手術で血栓をとり除いたりして、血流を再開させ、脳梗塞を回避する治療を導入しています。分単位の治療の遅れが、しばしば患者さんの予後を左右するので、診察、検査から治療までを迅速かつ的確にこなす必要があります。これらの治療は、放射線科、脳神経内科を含む脳卒中専門チームが担当します。

> 脳卒中専門チームについて、詳しくはこちらをご確認ください

 

  • 頸部頸動脈狭窄症

頸部頸動脈狭窄症とは、頸部の頸動脈分岐部に動脈硬化性粥状変化により血管の狭窄を生じ、これが原因で脳血流量の低下をきたしたり、脳梗塞の原因となりうる疾患です。脳梗塞や血流低下に伴い、意識障害、構音障害、片麻痺、知覚障害、失語症、網膜中心動脈閉塞症などあありますが、時には立ちくらみ・揺れるようなめまい感 などを訴えることもあります。症状の中には症状が全く消失してしまう“一過性虚血発作”や“一過性黒内障”もあり、脳梗塞の前兆として注意が必要です。頸動脈超音波検査、血管造影、3D-CTA、プラークイメージングMRI、脳血流検査などを用い脳梗塞発症・再発リスクを評価します。


狭窄の程度が強くなると、その後の脳梗塞を予防するために外科的治療が必要となりますがその標準的治療は頸動脈内膜剥離術(CEA)です。このCEAに関しては、欧米を中心に大規模な多施設共同研究がなされ内服薬のみで治療する方法と(内科治療)、CEA(外科治療)ではその後の脳梗塞の発症予防としてはCEAの方がすぐれているという結果が出ています。CEAの手術リスクや全身麻酔のリスクが高いと考えられたりする患者さんに対しては頸動脈ステント留置術(CAS)という血管内治療も行っております。CASもCEAもほぼ同等の治療効果と安全性を有していますが,それぞれの特性やリスクを十分に理解して,患者さんの背景に応じてテーラーメードに治療法を提案させていただきます。(水曜日午後専門外来)

 

  • 重症頭部外傷

頭部以外の全身的な損傷を伴うことが多く、外科、整形外科、麻酔科などの専門医と協力して治療にあたっています。脳卒中と同様に、一分の遅れがしばしば患者さんの生命を左右するので、診察、検査から治療までを迅速かつ的確にこなす必要があります。これまでの最短記録では、搬入から執刀までの時間はおよそ40分でした。最近では救急集中治療科とも連携して重症頭部外傷や、全身多発外傷の治療を行なっています。

 

  • 脳腫瘍

良性腫瘍は手術で完全に摘出することが基本ですが、近年では、多くの良性腫瘍や、転移性脳腫瘍に対して、ガンマナイフなど、手術以外の効果的な治療法も開発されています。患者さんにはこれらの情報を正しくお伝えします。手術にあたっては、最新の機器と技術を駆使します。手術では後遺症を出さないことを最優先します。最近では脳ドックなので無症候性の良性腫瘍が偶然発見されることがしばしばありますが、その多くは経過観察としています。脳下垂体腫瘍の治療の際には、神経内視鏡を用いて治療を行っています。

 

 

 

関連情報(ページリンク)