診療科・部門

各疾患の治療について

顔面神経麻痺・急性感音難聴

それぞれ毎年50~70名の初診での受診があります。軽症例は内服治療で経過をみますが、中等症~重症例については主に通院でのステロイド点滴治療を行っています(ただし糖尿病のある方は入院が必要となります)。
また顔面神経麻痺については症例によりますが、治療および後遺障 害予防のためリハビリテーション科と連携し理学療法士または言語聴覚士によるリハビリテーションを施行しています。更に改善不良例については精査の上手術(顔面神経減荷術)も行なっています。

副鼻腔炎・アレルギー鼻炎

局所処置や内服治療など保存的治療については、病院診療所連携の観点より近隣の耳鼻咽喉科医院で受けること勧め、当科は主に手術治療を行なっています。
副鼻腔炎には一般的な局所麻酔下の内視鏡下手術を行なっていますが、それで対処困難な病変については全身麻酔下での外切開手術を施行しています。
またアレルギー性鼻炎については、局所麻酔にて粘膜下下鼻甲介骨切除術や鼻中隔矯正術などの鼻腔形態改善手術を行なっています。この際アレルギーに関与する後鼻神経の末梢枝を、可能な限り下鼻甲介内で確認し切除する手術を同時に施行しています。

嚥下障害

当院は3次の救命救急センターを有し、また神経内科と脳神経外科があることから脳卒中の入院が多く、それに伴う嚥下障害の方も年々増加しています。部長の只木は嚥下医学を専門としており、平成22年秋に多職種による嚥下サポートチームを立ち上げました。院内患者を対象に嚥下障害の状態を診断し食事の体勢と形態を調節、言語聴覚士が中心となり多職種による摂食嚥下訓練を施行しています。
また保存的治療で効果がない場合には、適応を十分に考慮した上で手術(嚥下改善手術・誤嚥防止手術)も行っています。なお現在では対象を外来患者にも拡げ、主に近隣 施設からの紹介の方を中心に検査・診断・指導を行なっています。

検査には1人当たり20~30分かかるため予約制とし、各施設から電話連絡で日程を調整しています(紹介なしの方は初診時 に予約日を決定)。具体的には普段食べられている食事を持参し御家族と来院頂き、その食事を用いて嚥下内視鏡検査を施行します。
更に必要時には後日嚥下造影検査も行い、その結果をふまえて食事体勢の調整と食事形態や摂取方法などの指導を行なっています。社会の高齢化に伴い嚥下性肺炎(誤嚥性肺炎)の方が急増しています。そこで当院では「嚥下性肺炎患者が退院後に再発再入院しない治療」を目標に掲げ、平成26年5月からは嚥下性肺炎の方が入院された時点で多職種が連携して診療に当たるチーム医療の運用を開始しました。

頭頸部悪性腫瘍

当院はがん診療連携支援病院であり放射線治療施設を有しています。
当科は医師2名の小所帯のた め再建を必要とするような大掛かりな手術は困難ですが、それ以外の根治手術は積極的に行なっています。
更に当院放射線科には放射線治療専門医や血管内治療の指導医と専門医が在籍していることから、症例によっては放射線科と連携し化学放射線療法や超選択的動注化学療法なども行なっています。近年頭頸部癌領域では新しい抗癌剤が使用可能となり、また放射線治療の進歩により治療効果は格段に向上しています。