年齢とともに膝関節の軟骨がすり減ることにより、膝の痛みやO脚・X脚などの変形がおこる病気です。
原因は不明ですが、特に高齢女性に多くみられ、変形は徐々に進行していきます。膝への負担が大きい(体重が重い、つかいすぎ)と、進行がはやくなります。
初期には立ち上がり時など動作の開始時のみに膝が痛む程度ですが、徐々に正座や階段の昇り降りが困難になり、末期になると安静時にも痛みがでたり、関節の変形がひどくなるなど、歩行が困難になります。
初期 |
• 立ち上がり、歩き始めなど動作の開始時のみ膝が痛む |
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中期 | • 正座や階段の昇り降りが困難になる |
末期 |
• 安静時にも痛みが取れない |
膝の痛みや変形といった症状が軽くても重くても、まずは手術以外の治療を行います(保存療法)。よく行われるものとして消炎鎮痛剤(内服、湿布や塗り薬)を使用した薬物療法、関節内注射(ヒアルロン酸、ステロイドなど)、リハビリテーション(筋力トレーニング、ストレッチ)、温熱療法などがあります。
その後、患者さんの骨の状態、年齢、ライフスタイルなどを考慮した上で、必要な場合に手術を考えます。
膝関節の傷みに対する手術には大きく分けて「骨切り術」と「人工膝関節置換術」があります。
股関節から足の甲までを一直線に結ぶ線を「荷重線」と言います。変形性膝関節症の方はこの荷重線が膝の中央よりも内側(もしくは外側)を通るため、その部分に荷重がかかり膝に障害が起こります。骨切り術は、この荷重線をずらすことで軟骨がすり減った部分にかかっている負担を軟骨のすり減りが少ない他の部分へ分散させるための手術です。
適応対象 |
• 変形が軽度~中度の方 • 比較的年齢が若い方 • スポーツや農作業などアクティブな活動を再開したい方 |
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メリット |
• 自分の膝関節を残すことができる |
デメリット |
• 変形が高度な方には実施できない •リハビリに時間がかかる •将来的に人工関節になる可能性がある
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変形性膝関節症の最も標準的な手術です。傷んだ膝関節全体の骨、軟骨を切除して、金属製の人工関節をかぶせます(人工膝関節全置換術:TKA)。
また、膝の内側のみが部分的に痛んでいる場合は、その部分のみに人工関節をかぶせる手術(人工膝関節単顆置換術:UKA)を行うこともあります。
適応対象 | • 変形が高度で軟骨のすり減りが激しい方 • ほとんど運動をしない方 |
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メリット | • 歩行時の痛みがとれ、膝もまっすぐになる |
デメリット | • 走ったり、ジャンプはできない |
高齢化社会に伴い、「変形性膝関節症」の患者さんは増加の一途をたどっており、自覚症状を有する患者さんは約1,000万人、潜在的な患者さん(X線診断による患者数)は約3,000万人と推定されています。
今後さらに増加するTKA患者さんの術後満足度の向上のため、2024年1月に人工膝関節全置換術用医療機器「VELYS™ ロボット支援ソリューション」を導入しました。
このロボットはコンピュータで計画された正しい場所に機械を誘導し、患者さんの骨を正確に削るのをサポートします。
手術の正確性の向上だけではなく、患者さん1人ひとりのあしの形の違いを考えたより細かな調整を加えた人工膝関節全置換術を行っています。
変形性膝関節症の主な治療方法はまずは保存療法となりますが、患者さんの膝関節の状態やライフスタイル、趣味などにあわせて手術を選択します。
当院では骨切り術、人工関節置換術どちらの手術にも対応しておりますので、膝を治してどのような生活がしたいのか、いつまでに治したいのかなど、一緒に相談しながら治療方法を決めていきましょう。
※当院整形外科は完全予約制のため、受診にはかかりつけ医の紹介状が必要です。