診療科・部門

上部消化器疾患

概要

消化器疾患の診断や治療方針決定に必須の検査です。三次救急指定病院の当院では、消化管出血に対する止血処置など、24時間救急に対応しています。胃癌の頻度は低下傾向にありますが、いまだ高い死亡原因疾患です。拡大内視鏡診断やNBI診断を用いた上部消化管内視鏡検査により、早期胃癌の発見・治療に努めています。早期胃癌の治療においては癌治療ガイドラインに従い、局所切除で治癒と考えられる症例に対しては、広範囲一括粘膜切除術を施行しています。

 

ヘリコバクタ・ピロリ菌は人において最も高頻度の慢性感染症であり、持続感染にて胃粘膜萎縮、消化性潰瘍を釆たします。除菌治療が成功すると胃炎が改善し、潰瘍の再発が抑制されることが確認され、適応例には積極的に治療しております。

早期食道癌診断

表在型食道癌。通常観察ではわかりにくいですが、NBI(narrow band imaging)と拡大内視鏡を組み合わせることにより、腫瘍部位の血管像を詳細に観察できます。

 

 

表在性食道癌に対する内視鏡的切除術

食道癌は基本的には手術や化学療法、放射線療法の対象疾患ですが、粘膜内にとどまると診断されるときは内視鏡的治療にて治療が可能です。

 

 

早期に発見された場合には内視鏡で切除可能です。食道癌の場合には外科手術侵襲が大きいので、他の消化管より患者さんへの貢献度は大きいと考えら得ます。

喫煙者で飲酒習慣のある、60歳以上の方は、色素検査により発見率は高まります。是非とも消化器内科担当医に御相談ください。

 

進行食道癌に対するステント

進行食道癌で手術や放射線療法の対象とならない方で、狭窄のある場合、ステントを挿入して食物の通過を改善します。

 

 

内視鏡により狭窄部を拡張し、その後に金属ステントを挿入。翌日より、経口摂取は可能となりました。

 

早期胃癌に対する粘膜切除術などの内視鏡的治療

胃癌、食道癌で粘膜内にととまる早期の病変の場合は、手術でなく内視鏡的に粘膜ごと切除することで根冶が可能です。

 

 

胃前庭部後壁の早期胃癌

粘膜下に薬剤を注入し、内視鏡的に電気焼灼切除を施行しました。上記右図は切除された胃癌部です。

 

出血性胃・十二指腸潰瘍に対する緊急止血術

出血性潰瘍病変に対しては従来は手術などが行われましたが、近年は内視鏡を使用しての止血術が進歩しました。

大多数の症例において、内視鏡的な止血術が有効であり救急の吐血、下血において当科では24時間体制で、随時、内視鏡的止血が可能な体制をとっております。

 

胃潰瘍症例1

 

上段左は潰瘍底の露出する血管から動脈性の出血を認めます。

上段右は止血薬剤の注入により止血されています。

 

胃潰瘍症例2

 

上段左は複数の露出血管を認め、湧出する出血が認められます。

右は止血用の金属クリップにより止血されています。

 

十二指腸潰瘍症例

 

前壁の深い潰瘍に凝血塊を認め、血液を除去後に露出する血管を確認し、電気凝固治療により止血術を施行。

 

胃・十二指腸潰瘍に対するヘリコバクターピロリの除菌療法

潰瘍の原因として現在、ヘリコバクターピロリ菌とよばれる細菌が大きく関与しているとされます。

その細菌を除去する事で潰瘍の治療,再発予防が可能となると判明し厚生労働省も正式な治療法として許可し、2年前より施行されています。

 

胃・食道静脈瘤の結紮・硬化療法

食道静脈瘤症例

 

 

 

上段左図に、静脈瘤からの出血点を確認し、内視鏡的に結紮治療を施行。止血確認しています。