放射線治療部門では2021年7月に機器更新を行い、下記のような高精度放射線治療が施行可能になりました。医師・看護師・技師が連携し、患者さんにとって負担が少なく、かつ効果の高い治療を行ってまいります。
強度変調放射線治療とは、コンピュータによる演算を利用することで正常組織への照射線量を減らしつつ、腫瘍部分に放射線を集中して照射出来る治療方法です。これにより理想に近い放射線治療が可能となり、治療成績の向上や副作用の軽減が期待できます。
当院ではIMRTの進化型であるVMAT(強度変調回転放射線治療)で治療を行っています。回転させながら照射を行うことにより治療時間の短縮やさらなる精度の向上が可能です。
主に前立腺がんや頭頚部がん等で行うことが多いですが、他にも肺がんなど様々な疾患でこの治療方法を使用しております。
定位放射線治療とは、病巣に対し多方向から放射線を集中的に照射する方法です。ピンポイント照射と呼ばれることもあります。放射線を病変の形状に正確に一致させて3次元的に照射します。通常の放射線治療と比較して1回に多くの線量を照射しますので、総治療期間は1週間程度と短くなります。
主に肺、脳、肝臓などで適応になります。最近では単発の骨転移に対して行うことも増えてきております。
また、脳定位照射においては複数個の脳転移を同時に治療できるシステムを有しており、治療時間の短縮(10カ所の病変でも1回30分程度)が期待できます。
放射線治療、特に高精度治療においては毎日の治療ごとの「ずれ」を減らすことが重要です。そこでIGRTの技術が必要となってきます。
IGRTとは、照射直前や照射中に患者さんの画像情報(レントゲン写真、CTなど)を取得し、その画像から腫瘍・骨・正常組織の位置情報を把握し日々の放射線治療の位置合わせを行う技術です。
当院では主に放射線治療機器のKV imagerで取得したCT画像を用いてIGRTを行います。これにより安全性の高い治療が可能となっています。