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 子宮筋腫の動脈塞栓術の症例 

 

 

 

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50歳、女性。症状は、過多月経、貧血、めまい、息切れ、全身倦怠。
5~6年前より他院で貧血と子宮筋腫を指摘されており、鉄剤による対症療法を受けていた。
来院時の血液検査では、ヘモグロビン値は3.2(g/dl)で、重度の貧血であった。
諸検査の結果、子宮の後壁に最大径10cmの粘膜下筋腫が認められた。
鉄剤による対症治療を3週間行い、ヘモグロビン値が6.7(g/dl)に改善。その後、動脈塞栓術を行った。

 

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A 骨盤動脈造影(動脈相) 局所麻酔下で右大腿部の付け根から経皮的にカテーテルを動脈内に挿入し、骨盤部の動脈を撮影した。矢印が左右の子宮動
B 右子宮動脈造影 カテーテルを右子宮動脈へ選択的に挿入し撮影した。矢印が子宮筋腫により腫大した子宮。この後、右子宮動脈を塞栓した。
C 左子宮動脈造影 カテーテルを左子宮動脈へ選択的に挿入し撮影。矢印が子宮筋腫により腫大した子宮の一部。この後、左子宮動脈を塞栓した。
D 右子宮動脈造影(動脈塞栓術後) 右子宮動脈は閉塞している。
E 左子宮動脈造影(動脈塞栓術後) 左子宮動脈は閉塞している。

 

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F 動脈塞栓術前のMRI 子宮の後壁に粘膜下筋腫(矢印)が認められる。大きさは10×8×8cm。
G 動脈塞栓術4ヵ月後のMRI 子宮筋腫(矢印)は7×7×6cm(元の46%の体積)に縮小。
H 動脈塞栓術1年後のMRI 子宮筋腫(矢印)は再増大することなく、6.5×6×5cm(元の30%の体積)に縮小。

 

経過

動脈塞栓術後、約9時間強い下腹部痛を認めたが、鎮痛剤により制御可能であり一過性であった。翌朝からは下腹部痛は改善し、術後3日目に退院された。過多月経は術後最初の月経より消失し、月経時の出血量も正常化した。貧血に対しては鉄剤による薬剤治療を行い、術後2ヵ月後にはヘモグロビン値は正常化した。以降は薬剤治療を必要とせず、日常生活に支障なく生活されている。